Mugichoko's blog

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プログラミングを中心としたメモ書き.

1年で5回オーストリアで引越しした話

留学先のオーストリアグラーツに住み始めてからの1年で,合計5回も引越した.特に悪い理由があったわけではなく,単にそうなってしまったというだけのことです.

荷物は夫婦2人でスーツケース1つずつと大きめのカバン1つずつという身軽さだったので,比較的簡単に移動できたことも引越しが多かった原因の1つ.あまりにも引越すので,そのことを話すたびにラボのメンバからは何か手伝おうか?と優しい言葉をかけてもらっていたのでした.

この投稿では,引越しの単位で1年間の留学を振り返ることで,読者に日本とオーストリア人,というかグラーツァー(「グラーツに住む人」の意)の優しさや文化的な違いを少し伝えたいと思います.

グラーツという街

オーストリアでは,ウィーンに次ぐ第2の都市なのですが,知名度的に圧倒的にザルツブルグに負けている街です.グラーツァーもそれは自覚しています.赤い屋根が素敵な旧市街は世界遺産に登録されています(Wikipedia参照).

見える旧市街一面が赤い屋根で統一感がある
見える旧市街一面が赤い屋根で統一感がある

シュニッツェル(叩いて広げたカツみたいなもの),手羽先,かぼちゃオイル,白ワイン,川魚が有名で,実際,どれもとても美味しいです.コーヒーにこだわりのある人が多いのはイタリアに少しだけ近いからだとか.

シュニッツェルは伝統的な揚げ物料理
シュニッツェルは伝統的な揚げ物料理

シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーが隣町で生まれ,グラーツで鍛えた,ということでも有名な街です.シュワちゃんの実家は,今は小さな博物館になっています.実際に「帰省中のシュワちゃんを見た!」という人もいるようです.ただ,アメリカに行ってしまったこともあって,グラーツとは少しぎくしゃくしているとか.好き嫌いは半々という印象です.

シュワちゃんの実家の前にある銅像
シュワちゃんの実家の前にある銅像

さて,以降はいよいよ引越しの話です.

1回目(ゲストハウスへ入居)

初めての引越しは当然オーストリアに入国したその日.8月の中頃です.大学のゲストハウスに暮らし始めました.親切にもラボの直属のボスが爽やかに迎えてくれ,案内してくれたのは良い思い出です.

山の中に1軒だけひっそりとたたずむゲストハウス
山の中に1軒だけひっそりとたたずむゲストハウス

ここには2ヶ月ほど住みました.入り口に入ると石畳の階段が広がっており,冷んやりとしています.一部屋はとても広く,直前まで住んでいた神奈川のアパートなど玄関に収まってしまうくらいの広さです.

キッチンにはシンクや棚の他にも,オーブン,食洗機,冷蔵庫が一式備え付けられており,妻も満足そうでした.

どの部屋も基本的にオーブン完備!スーパーで買った川魚を焼いています
どの部屋も基本的にオーブン完備!スーパーで買った川魚を焼いています

お風呂はなく,シャワーだけ.トイレと一緒のユニットバスタイプでした.ここだけは多くの日本人にとってマイナスなところかなと思います.

8月はとにかく日が長く驚きました.21時になってもまだ日本の16時くらいの明るさで,あーそのために分厚い機の窓が付いているんだな,と納得.

窓からはたまに野うさぎが見られる(景色が歪んでいるのは窓ガラスのせい)
窓からはたまに野うさぎが見られる(景色が歪んでいるのは窓ガラスのせい)

現地の人にここに住んでいるよ,と伝えると,そこはいいところだね!と毎回ひどく羨ましがられました.私たちとしては山の中だし,避暑地みたいなのどかなところだったので,そんなにいいかなぁ?もっと便利なところあるけどなぁ,と思っていました.こちらの人たちにとってはのんびりできることこそが幸せらしく,そこにも異なる文化があるように感じました.

ゲストハウスのある小山を下ればそこは避暑地
ゲストハウスのある小山を下ればそこは避暑地

長期休暇,いわゆるバケーションですが,聞くところによると普通の労働者は5週間ほど取るのだそうで,日本ではお盆の時期に数日,長くて1週間だよ,と伝えると,そりゃ大変だな,と同情されるのでした.ラボの人達も2週間くらいは取るのが普通で,7月や8月は決まって全員揃いません.

私たちが現地に着いた時にも,誰もいないしザルツブルグにでも行きなよ!と言われ,急遽,2泊3日のオーストリア的にはかなり遠慮がちな休みを取ったのでした.

ザルツブルグ.知名度でグラーツの上を行く街
ザルツブルグ知名度グラーツの上を行く街

ザッハトルテモーツアルトのお菓子
こちらはお菓子やモーツアルトで有名

2回目(ゲストハウス内で引越し)

次の引越しは,実は,このゲストハウス内での引越しでした.というのも,私たちが入った部屋には先約が入っていたため,別の部屋に移ることになっていたのでした.次の部屋は吹き抜けの2階部屋でしたが少し狭くなり,シェアキッチンでした.むしろ2人暮らしにはこの程度の広さがちょうどいいでしょう,と思えるくらいでした.

ゲストハウスへの道中
ゲストハウスへの道中

シェアキッチンと聞いていて,私たち夫婦の頭の中には「海外だし,みんな会ったら仲間!イェーイ!みたいなノリなのか!?」と思い,ちょっと怖気づいていたのでしたが,それはアメリカの映画に洗脳されていただけでした.そもそも,このゲストハウスに学生はおらず,研究員等のポストのある人だけだったので,皆さん大人ですし,キッチンで出会えば「どうもこんばんは,どこから来たの?」くらいの会話しかなかったのです.

3回目(街中へ引越し)

ゲストハウスには最長で6カ月までしか暮らせない規則があったので,いつ引越そうか?と夫婦で秋くらいには話し合っていました.冬になるととても寒く雪も積もると聞いていたので,そんな中山道を日々登り降りするのは大変だと気付いていたからです.

基本的にネットで妻が探してくれていました.しばらく調べていたところ,大学から連絡があり「留学に出るので部屋の管理も兼ねて貸したい」との連絡があったとのこと.こちらでは,実際に住んでいる人から又貸しさせてもらうか,大家さんから借りるかという2つの借り方がよくある方法で,この時は前者だったというわけです.則返事をして,夫婦でその部屋を訪れたのでした.家賃が安く,街の中心に近い便利なところにある部屋でした.

街の交通の中心ヤコミニプラッツ
街の交通の中心ヤコミニプラッツ

初めてのお宅訪問なので正直,少しドキドキしていました.住んでいる部屋にそのまま案内され「こんな感じだよ」と見せてもらうのです.ここでの貸主がそうであったように,留学に行く間,家の管理を兼ねて借りて欲しい,という人が結構いるようです.

最上階で(とはいっても4階ですが)眺めも良く,貸主も親切だったので即決して暮らし始めることにしました.ただ,貸主が留学から帰ってくるまでの間だったので4月までという期限付きで,雪が降り始める前に借りました.

雪が降るとこの通り.赤い屋根は白く模様替えです
雪が降るとこの通り.赤い屋根は白く模様替えです

返す時にいざこざが多少ありましたが(詳細はこちら),もともとの価格も安かったので満足でした.こちらでは,水道代や電気代が家賃に込み込みのところがあるため,とてもありがたいのです.日本でいう,敷金礼金のシステムもありますが,礼金なしのところを選べば安く済ませられます.

バスタブもついており,風呂とトイレは別ということでかなり好印象な部屋でした.部屋も広く,貸主のもとの荷物がありましたが,それでもまだまだ多くのスペースがあり,とても快適でした.

冬場になると,予想通り雪が降り,とても寒い季節となりました.ただ,アパートには一般にオイルヒーターが備え付けられていて,特に寒さに震えることもなくとても快適でした.引越して来て正解だったという感じです.

クリスマスはこの盛り上がり.グリューワインで暖まります.信仰の深さは日本人の仏教くらいの印象
クリスマスはこの盛り上がり.グリューワインで暖まります.信仰の深さは日本人の仏教くらいの印象

4回目(街外れへ引越し)

貸主が帰って来るため,新しいアパートへ引越さなくてはなりません.帰国までの数ヶ月だけを過ごすところを探していたのですが,なかなかいい条件が見つかりませんでした.妻が探してくれた結果ようやく引っかかったのが,部屋から教会が眺められる部屋でした.貸主はすでに留学に行っており,現地ではお母さんが応対してくれました.年単位の貸し出しを希望されていたのですが,事情を伝えると,家賃を値上げしてもいいならいいよ,ということで交渉成立.

古めの部屋で,部屋の調度が全体的に暗かったのですが,バスタブがあり悪くない印象でした.部屋からは教会が望め,とても気持ちのいい朝が迎えられます.夜には教会がライトアップされてこれもまた一興でした.

家の近くの教会はレンガ造り
家の近くの教会はレンガ造り

この部屋で最初に困ったのはインターネット.ゲストハウスでは大学のネットが使え,2軒目ではネットを置いて行ってくれていたのでそのまま使えましたが,今回は既に貸主が引き払った後だったのでネットがなかったのです.ということで,違約金なしで辞められるネットに契約したのでした.その奮闘記はこちらからどうぞ.

5回目(街中と街外れの間に引越し)

本来は1年間の留学を終えて帰国予定でしたが,幸いにもこちらで職を得たので,またアパートを探す必要が出てきました.

今回もネットで検索し始めたのですが,探すこちらも経験を積んだ分だんだん贅沢になってきており,あれもこれもと望んでなかなかいい物件が見つかりません… 3軒目のすぐ近くに候補を見つけ連絡を取ったのですが,実は既に先約がいるとのこと… とてもいい部屋だったので残念… 後日連絡が来て,やっぱり先約で決まったとのこと.

次を探すか,と肩を落としていたところ,3軒目の方から,友達がちょうど引き払う部屋があるから見に行ってはどうか?との提案.なんと心優しい!ということで早速その部屋を訪れ即決!後から聞く話によると,先の先約の方が出る部屋を紹介してくれたようでした.なんともラッキーでした.

街の中心からもさほど離れていない好立地
街の中心からもさほど離れていない好立地

更には,ソファやグラスが余っているからいらないか?との提案.「是非!でもどうやって?」と尋ねると「引越しついでに入れておいてあげるよ!」との返事が.なんと優しいのか,グラーツァーよ.

というわけで,5回目の引越しが始まったのでした.今回は大家さんと直接契約です.大家さんは前に住んでいた人たちのおばさんで,おじさんが大家さんを束ねるオーナーだったので話はスムーズでした.2件目でのことがあったので,事前確認を念入りにして,そこまでしなくても大丈夫だよ,というオーナーのおじさんに「念のため,念のため」と色々と規約に免責事項を書いて頂いたのでした.

いざ引越しへ!大家さん夫妻と待ち合わせて鍵を受け取り,一緒に部屋に入ってみると,前の方の残していった不要な家具がたくさん... 「これいらない,あれいらない」となり,一緒に分解しては4階まで上り下りしました.更に,ベッドが壊れていたとのことで新しいものに入れ替え,冷蔵庫も壊れていたと入れ替えました.4階までの上り下りは結構大変ですが,オーナーのおじさんが笑顔で手伝ってくれたので何とか終えることができたのでした.

完成したキングサイズベッド.IKEAです.「うちの家具は8割はIKEAだな」by ラボのボス
完成したキングサイズベッド.IKEAです.「うちの家具は8割はIKEAだな」by ラボのボス

さて,最後に,前の部屋を引き払うためにきれいに掃除し,貸主のお母さんに鍵を渡して,さようならとお別れ.ここでも過去の悪夢を払しょくするべく「念のため...」と免責事項にサインして頂いたのでした.それでもお母さんは「とてもきれいになってるわ!」と最後まで笑顔でお別れしてくれました.温かいです,お母さん.

これで全てです!引越しの他にも,それなりに色々な国に行ったので,どこかでまとめられたらな,と思っています.